JH1YDT 早稲田大学無線通信研究会

早稲田大学登録サークル「早稲田大学無線通信研究会」公式ブログです。お問い合わせは「jh1ydt.waseda@gmail.com」までお願いします。

素人無線会?無線研究部? YDTの名称の歴史を探る

 こんにちは!
 JH1YDT編集長のJK1PNVです。

 

 当会の会誌『Yesterday Develops Tomorrow』第3号はお読みいただけましたでしょうか?
 まだお読みでない方は、ぜひWeb版をお読みください。

https://www.jh1ydt.com/contents/magazine2023autumn/YesterdayDevelopsTomorrow2023Autumn.pdf

 

 さて、この会誌第3号ですが、第70回理工展(11/4,5)で約200部を頒布したため、国立国会図書館に納本してみました。(ちなみに、納本のやり方についてはまた別の記事にしようと思います。)
 国立国会図書館サーチでも、書誌作成中なのが伺えます。書誌ができるのをワクワクしながら待っています。

Yesterday develops tomorrow (早稲田大学無線通信研究会)|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

 その際に、NDLサーチで「JH1YDT」と検索してみたところ、かつての「早大理工素人無線会」時代(1970~2012)の記事がヒットしました。ところが、その名前が「早稲田大学理工学部素人無線部」という伝え聞いていたものとはちょっと違ったものでしたので、調査してみることにしました。

 

目次


 Yesterday Develops Tomorrow第3号制作時に判明したことですが、当会の名称は非常に揺れが大きく、時々に様々な名前が見られます。
 もちろん、無線局免許状上の名称を何度も何度も変更していたわけではなく、その時々に略称や適切な通称を使用した結果こうなったのでしょうが、かつてのYDTについて検索する上で不便ですので一度まとめてみたいと思います。
 ちなみに、2016年以降は「早稲田大学無線通信研究会」の名称を使っていますが、学内では「早稲田大学」と示すまでも無いので「無線通信研究会」とだけ名乗ることもあります。記事のタイトルなど文字数制限がある場合は、「早大無線部」と書いている例もあるようです*1

Yesterday Develops Tomorrow,OB保有資料

 まず、先日発行したYesterday Develops Tomorrowや、その際に見せて頂いたOBの保有する資料を基に、当会の別名を探ってみます。

 

 OBの保有する、1970年当時の理工学部のクラス名簿には、「アマチュア無線同好会」(学内であるため「早大」や「理工」といった語句は省かれています)と記載されています。

 郵政省時代の(!)キャッシュカードは「ソウタ゛イリコウシロウトムセンカイ」名義です。「早大理工素人無線会」ですね。

 

 Yesterday Develops Tomorrow第3号の記事・後書きでは、以下の記載が見られます。括弧書きで、その名称を使った方が在籍していた年度を記載します。

 

 また、1970年代に少なくとも16号まで発行されていた会内誌『YDT.com』(『YDT通信』、『COM YDT』など別名あり)の内容を見ると、普段は会のことを「YDT」と呼んでいたことが分かります。これは、現在の当会も同じであり、また、アマチュア無線家の皆様も普段の会話で相手をサフィックスで示すことはよくあることだと思います。

NDLサーチを使った調査

 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ)では、国立国会図書館や全国の図書館が保有する書誌の情報を検索することができます。特に、雑誌については目次も記載されており、検索対象に含めることができます。

 さっそく、「早大 無線部」「早稲田 素人無線」など、様々な単語を組み合わせて検索してみたところ、CQ誌(CQ ham radio)に3件記事を寄稿していることが確認できました。

  • JH1YDT 早稲田大学理工学部素人無線研究会「混変調対策・高感度に重点を置いた--1.9MHz受信機の設計と製作」1979年6月号、pp. 254~265*2
  • JH1YDT / 早稲田大学理工学部素人無線部「パワーMOS FETを使用した 10Wアンプの実験」1980年10月号、pp. 282~285*3
  • 早大理工学部 素人無線研究会「製作と解説」1982年9月号、pp. 306~337*4

 

 「早稲田大学」だったり「早大」だったり、「理工学部」が入ったり入らなかったり、「研究会」だったり「部」だったりなど、様々な表記揺れが見られます。

 ここら辺の名称の揺れを典拠コントロールしていただけないか、国立国会図書館にお願いしてみました。確約はできないとこのことですが……。

 

 ちなみに、「早稲田大学無線通信研究会」では、2件ヒットします。

ネット検索

 Googleで「"JH1YDT"」と入力して、関連するページを片っ端から調べてみました。

 ちなみに、これを早稲田のWi-Fiからやっていますので、各所に足跡が残っているかと思います笑(これも立派な課外活動ですので、Wi-Fiを使わせていただきました)

 2012年以前のJH1YDTのウェブサイトは以下のURLだったようです。

http://jh1ydt.web.fc2.com/

 

 サイトはなくなっていますが、ウェイバックマシンにいくつかアーカイブが残っています。

 2008/5/13のアーカイブ*7を見ると、ページ下部の著作権表示が「(c) Copyright Amateur Radio Station at School of Science and Engineering Waseda Univ. JH1YDT」となっています。2010/3/12*8になると、「 (C) 早大理工素人無線会」に変わっていました。
 また、当時の幹事長が早稲田ウィークリー(大学学生部発行の雑誌)のインタビューに答えていました*9。そこには、「早大理工素人無線会幹事長」と書かれています。

 JARL京都クラブNews No.202(1987年3月)*10には、JA3YAQ/3 JARL京都クラブが第7回全市全郡コンテストにて4位になったとの記事に、5位までの順位表が掲載されています。3位のところには「JH1YDT 早稲田大学素人無線会」と記載されています。

 ちなみにコンテストと言えば、JK1JHU氏が「早稲田大学OB会」名義でコンテストで素晴らしい成績を残しておられますが、氏はYDTのOBではなくJE1YLPのOBのようです。

 当時の早稲田にはいくつか無線局があり、本キャン(西早稲田キャンパス→早稲田キャンパス、通称・本キャン、新宿区西早稲田1-6-1)13号館(かつて理工学部が使用していた)にあったのが「早稲田大学超短波実験無線局」「早稲田大学無線局」JE1YLPです。当時の13号館が描かれた絵をYLPのOBに教えて頂きましたが、アンテナや屋上の部室が映っていますね。

 JE1YLP局は、「早大無線局JE1YLP稲門会」の皆様によって今年再開局され、「早稲田大学無線局OB会」として活動していらっしゃいます*11。ちなみに、YDTの稲門会はありません……。

閑話休題

 

 1979年発行の英語QSLカードがebayに出品されています*12が、そこに記載された英語名称は2008年のものとは違うようです。

> Amateur Radio Club
> Faculty of Science & Engineering
> Waseda Univ.

 著作権を持っているのは出品者ではなくJH1YDTでしょうから、以下に画像を掲載します。

 

画像1 1979年発行のQSLカード

 中央に映るのは、建設当時日本有数の高さを誇った51号館です。この上から運用することもあったようですね。

 ちなみに、2016年以降に発行したQSLカードの中にも、51号館が映っているものがあります。

画像2 2018年作成のQSLカード

 

結論

 と言う感じで、様々なソースを利用して当会の通称の変遷を調べてみました。

 まとめとしては、大学名、学部名、無線について、会・部などの4パートの組み合わせで表せそうです。早大理工素人無線会、早大理工学部素人無線研究部、早稲田大学素人無線会といった調子ですね。

 

表1 JH1YDTの名称組み合わせリスト

大学名 学部名 無線について 会・部など
早大 理工 素人無線
早稲田大学 理工学部 アマチュア無線
  (記載なし) 無線 研究会
      研究部
      同好会

 

 というわけで、今回はYDTの歴史を少し探ってみました。名称が異なると情報を探すのが大変ですので、今後は「早稲田大学無線通信研究会」一本で通していきたいと思います。JH1YDTも併記してくれるところならいいのですが、ハム以外の方はなかなかコールサインを併記してくれませんから、こちらが名前を統一しておくに限ります。

 

 さて、次回は国会図書館納本の話でお会いしましょう。後輩が、理工展/早稲田祭の実施報告もしてくれるはずです。それでは!

 

2023/11/17

JK1PNV

君もできる!部誌の作り方大全【2023年秋部誌記事先行公開】

Hello CQ!今年3月に一線を退いたはずのLVQです。しれっとブログを書かせてもらっています。

 

さて、JH1YDT 早稲田大学無線通信研究会は今年も早稲田大学の学祭に出展します。

そして、3号目となる『Yesterday Develops Tomorrow』2023年秋号を発行します!

今回は昨年にも増して力が入っており、読み応えのある面白い部誌になる予定です。編集長は後輩に引き継いだので、彼が新たな時代を拓いてくれることでしょう!

私も記事を2本寄稿させていただいたのですが、そのうちの1本『君もできる!部誌の作り方大全』をここで先行公開します。

この記事は私が過去2回に部誌の編集長を務めて得た部誌作りのノウハウを書いたものです。これまで後輩や他社団から部誌の作り方を聞かれることが多く、それならばまとめてみよう!と思い執筆しました。7000字近い文量で大変長いのですが、部誌作りに悩む皆さんの助けになればいいなと思っています。

この記事を「面白い!」と思ってくれた方は、ぜひ今年11月4日(土)・5日(日)の学祭で部誌『Yesterday Develops Tomorrow』をゲットしてくださいね!

 

 

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君もできる!部誌の作り方大全

 

 YDTが発行する部誌も今号で3冊目である。今回は後輩に任せたが、創刊から2冊目までに関しては私が編集長を務めていた。0から部誌を作るという作業は大変だったがなかなか楽しく、思い出深いものである。一応ノウハウのようなものも身についたので、後輩たち・そして部誌を作ってみたいと思ってもどうしていいか分からない他社団に向けて、やり方を書いてみようと思う。

 今回想定する文書作成ソフトウェアはMicrosoft Wordである。なお、言うまでもないがここに記すのは自己流かつYDTにおける場合であり、やり方は各々好きなように変えてもらって構わない。

 

1.概要を決める

 部誌を0から作る場合、決めることがたくさんある。まず決めなくてはならないのが部誌のタイトルだ。一度決めるとなかなか変えることはないので、こだわって考えたい。

 次に考えるべきは部誌のテーマだ。なぜ今部誌を発行するのか、どんなテーマを持って作るのか。例えば春に出すなら新入生に向けた内容を入れたほうがいいだろうし、学祭に合わせて出すなら外部の人に活動をアピールできるものがいいだろう。

 また、余裕があれば特集を組むのも面白い。みんなに同じテーマで記事を書いてもらったり、何か大きな伝えたいことがあればそれを中心に持ってくることもできる。記事のテーマを決めることで、書くことが思いつかない人の執筆の助けにもなるだろう。

 このようにして部誌の方針を決めることで、後々の制作で目指すべきところが分かりやすくなる。

 

2.スケジュールを立てる

 部誌を作る上でまず迷うのがスケジュールの立て方だろう。以下にYDTの部誌制作スケジュールを載せるので、参考にしてもらいたい。

 ここでは最短日数で作る場合のスケジュールを書いているため、実際には記事募集告知を半月早めるなどして制作にもう少し余裕を持たせる方がいいだろう。

 また、このスケジュールは全員に共有しておく必要があるが、ここで大事なのは原稿の本当の提出締切=デッドラインを「絶対に伝えないこと」である。部誌を完成させる上で絶対に死守しなくてはいけない日を提出締切として伝えてしまうと、遅れて提出してきた人に対応できない。これは経験則だが、必ず締切に間に合わないという人が現れる。掲載記事がすでにたくさん確保できているのであれば未掲載として切り捨てることもできるが、1本でも多くの記事を載せたいというのが本心だろう。であれば、デッドラインより1週間程度早い日にちを締切として設定し、それでも間に合わなかった人はデッドラインまで待ち、それ以降は諦めるというのが一番円満な解決方法である。もちろんその際は、最初の締切を過ぎるまではデッドラインまで1週間余裕があることを伝えてはならない。もし伝えてしまえば締切は「守らなくていいもの」という空気が生まれてしまい、せっかくの作戦も無に帰すだろう。あくまでも締切は死守せよという厳しさを見せつつ、デッドラインは隠しておくのが賢いやり方である。

 

3.ページの書式を決める

 概要とスケジュールが決まれば早く記事を募集したいと思うかもしれないが、まだそれには早い。ページの書式を決める必要があるのだ。書式とはこの場合、レイアウトと言い換えてもいい。これが統一されていないと、のちのち記事を流し込むときにとても手間取るし、なにより完成したときの見栄えがよくない。しっかり決めておこう。

 以下はYDTの部誌の誌面である。これを参照しつつ、基本的な決めるべきことを紹介しようと思う。厳密には書式と違うものも含んでいるが、このタイミングで決めるべきことなのでここで触れておく。

・用紙サイズ

 まず手にとって読みやすいこと、かつアマチュア無線サークルの部誌だと図版なども多いためそれらがきちんと読めるサイズが求められる。B5やA4くらいにしておくのがいいだろう。YDTの部誌のサイズはB5である。

 

・カラーモード

 表紙・本文をそれぞれモノクロとカラー(CMYK)どちらで印刷するかを決める。基本的にモノクロは安く、カラーは高くなる。自分たちで印刷・製本する際は本文中にモノクロとカラーを混同させることも簡単だが、印刷所に頼む場合は面倒な場合が多い。

 これまでのYDTの部誌では、表紙は印刷所に発注してカラー印刷に、本文は自分たちで輪転機を使いモノクロ印刷していた。

 カラーにはCMYKとRGBの2種類があるが、印刷所に発注する場合はCMYKでデータを作るよう求められることがほとんどである。写真などの画像は元々RGBになっていることが多く、CMYKに変換すると色味がくすむことがある。色にこだわりがある場合は気をつけよう。

 

・フォントサイズ

 記事の読みやすさや掲載できる記事の量に大きく関わってくるのがフォントサイズである。雑誌や本の文字のサイズを参考にして最適なものを決めるといい。その際、本文、記事タイトル、見出し1、見出し2、……とそれぞれで数値を決めておき、部誌全体で統一することが大切だ。これがバラバラだと読みにくいし、一度決めておけば編集のときに無駄に迷うことが減る。Wordなどであればあらかじめスタイルという機能が用意されているので、それを活用するといいだろう。

 これまでのYDTの部誌では、タイトルは24Q、見出しは16Q、本文は13Qとしていた。WordなどではフォントサイズはQではなくポイント表記が一般的だが、Qからポイントへの換算は面倒なので各自にお任せする。

 

・ヘッダー/フッター

 ヘッダー/フッターとはご存じの通り、それぞれページの上部/下部に記事タイトルやページ番号を表示する機能である。記事タイトル表示は各ページにあった方が読者に親切だろう。さらにページ番号については印刷所に発注する際に必須のことが多い上、目次をつけるときや乱丁・落丁を探すときにも役立つ。忘れずにつけるようにしよう。

 

・段組

 悩ましいのが段組である。読者の読みやすさを最優先に、何段で組むか決めるといいだろう。YDTの部誌は横書き2段組としている。これは横文字や数字が文中によく出てくることと、B5に1段組だと1行が長く読みづらいことを考慮してのものである。

 

・画像

 画像を記事に入れるときのサイズ、比率なども決めておきたい。特に比率は記事募集時に指定しておくと後の作業が楽である。それが難しい場合は、画像の横幅だけでも編集時にそろえると統一感が出て綺麗に見える。

 

4.記事を集める

 ここまで決めれば、記事を集めることができる。あとは締切まで待つだけ……と思いたいが、何もせずに待っていたのでは記事の提出率は低くなる。必ず定期的にリマインドをするようにしよう。「締切を忘れてました」なんて言わせないように、1ヶ月前、2週間前、1週間前、3日前、1日前としつこいくらいに告知することをおすすめする。

 提出方法は色々考えられるが、PDFのようにテキストを取り出しにくい形式は避けよう。どんなPCでも開きやすいテキストファイル、Wordファイルなどがいいだろう。また、理系学生を中心にテキストフォーマットとしてマークダウン記法も人気があるが、部誌の原稿に用いる際には注意が必要だ。部誌の編集者は提出された原稿をコピー&ペーストでWordなどに流し込むことになるが、その際にマークダウン記法で使われる「#」や「*」がそのままテキストとして入力されることがある。これらの記号をいちいち文章内から削除するのは非常に面倒だし、ミスの元にもなる。対応ができないのであればマークダウン記法は避けた方が無難だろう。

 また、記事に入れる画像はWordなどに挿入して提出という形ではなく、画像単体で提出してもらうことをおすすめする。元画像があればその後の編集も容易だし、画質もそのままで受け取れるからだ。一般的に印刷物に必要な画像解像度はカラー300〜350dpi、グレースケール600dpiなので気をつけたい。

 忘れがちなのが、筆者紹介とあとがきだ。もしこれらも部誌に入れたいのであれば、合わせてこの段階で集めておこう。

 

5.記事を流し込む

 記事がすべて揃ったら、いよいよ流し込みである。書式が決まっているので迷うことは少ないだろう。ここで記事の順番も決まってしまうため、全体の流れやバランスを考えて適切に配置しよう。最後に目次をつけることを忘れずに。

 流し込み終わったら、全体に目を通して抜け落ちやミスがないか確認しよう。この後に校正をするが、その前に見つけられるミスはなるべくつぶしておきたい。

 注意しておきたいのが、全体のページ数を「4の倍数」にすることだ。本は1枚の紙に4ページが印刷されて作られるからである。印刷所によっては2の倍数としている場合もあるので注意が必要だが、いずれにせよページ数が奇数ではいけない。

6.校正・校閲する

 意外と時間がかかるのが校正・校閲である。校正は誤字脱字等の表記の誤りの修正を、校閲は事実確認等の内容の誤りの修正を指す。これは厳密にやろうとするとかなり大変で、専門知識も必要だ。商業出版と同じレベルを目指す必要はないと思うが、部誌として発行する以上は出来る範囲できっちりと行いたい。

 校正・校閲をする段階になったら、流し込んだデータを一旦PDF出力してメンバーに共有しよう。基本的に校正・校閲はその記事の執筆者以外が行うことが望ましい。書いた本人だと見つけられないミスも、第三者が客観的に読めば見つかることが多いからだ。その際、可能であれば実際にPDFを印刷した方が書き込みができるので作業を進めやすい。そして校正・校閲は1回で終わらせず、担当者を変えて2回以上行うようにしよう。

 校正・校閲のルールについては、ここに記述するには多すぎるので各自で調べてほしい。一つの記事内で統一したい・気をつけたいポイントとしては以下のものが挙げられる。

 

約物(句読点・疑問符・括弧などの記号)のルールの統一

・表記ゆれの統一

・英数字、括弧や記号における半角・全角の統一

・口調の統一

・漢数字、英数字の統一

・時制の統一

・情報、計算式などに間違いがないか

・不快、不適切な表現がないか

7.修正する

 校正・校閲でミスが上がってきたら次は修正作業だ。その際に指摘された箇所はリスト化して管理することをおすすめする。そうしないとどこまで作業したか分からなくなってしまうし、また新たなミスを生むことになる。何ページの何行目がどう間違っていてどう修正するのか、未対応なのか対応済みなのか、しっかり記録しておこう。

 修正する際には編集データをそのまま上書きするのではなく、別名保存してデータを分けてから取り掛かるようにしよう。まれに修正前のデータに戻さなくてはならないということも起こるし、いざというときのバックアップにもなる。

 修正がすべて終わったら、あらためてPDF化しメンバーに共有し、適切に修正されているか確認してもらおう。ここでも校正・校閲ができたら理想的だが、スケジュールと要相談である。

8.表紙を作る

 表紙は部誌の華である。その出来によって手に取られる数も変わってくるため、こだわって作りたいところだ。部誌のタイトルロゴなどは一度作ってしまえば毎回使いまわすこともできるので、賢く作業しよう。

 ビジュアル重視でイラストや写真を使いインパクトのあるものにしてもいいし、雑誌のように特集や記事タイトルを書き入れて興味を引くのもいいだろう。世の中に出版されている本や雑誌などを参考に、より希求力のあるものを作っていきたい。

9.印刷・製本する

 印刷・製本は、自分たちでやるか印刷会社に外注するかで作業内容が大きく変わる。ここではざっくりと紹介したい。

・自分たちでやる場合

 100部程度までであれば自分たちで印刷・製本するのもいいだろう。メリットは値段が安く済むこと、配布日直前まで作業ができることなど、デメリットとしては製本作業が人力なので手間がかかること、印刷品質に限界があることなどが挙げられる。この場合は家庭用プリンター、学校などの施設のプリンター、輪転機などを使うことになる。プリンターは印刷が綺麗だが値段が割高になりがちで、輪転機は印刷品質はプリンターに劣るものの値段を抑えることができる。

 完成した原稿を印刷する際には、PC上で本の形に割り付けてから印刷する方法と、原稿を1ページずつ実際のページサイズで印刷して原本を作り、それを割り付け通りに並べることでページを完成させてコピーする方法がある。割り付けについては、印刷する前に本のミニチュアを紙で作っておくと理解しやすいのでおすすめする。

 以下の図は全8ページの横書き中綴じ冊子を作る場合の割り付けであるが、本の構造はページ数が増えても基本的にこれと同じである。

YDTの部誌のサイズはB5、つまり印刷に使う紙は倍のB4になるが、B4で原本を印刷できるプリンターを持っているメンバーがいなかったため、後者の方法をとった。

 印刷が終わったら部誌の形に組んでホチキス留めをして完成である。ホチキスは中綴じ用の大きなものを使ってもいいが、MAX社が発売している「ホッチくる」という商品が手軽で便利である。一般の文具店で安価に入手でき、綴じ枚数が15枚までであれば使うことができる。

 

・印刷会社に外注する場合

 ある程度まとまった部数を発行する場合は印刷所に外注するという方法もある。メリットは高品質なものができること、製本を自分たちでやらなくていいことなど、デメリットとしては値段が高くなること、入稿する関係で締切が早くなること、印刷データ作成の際に様々なルールを守らなくてはならないことなどが挙げられる。

 この場合まず気をつけなくてはいけないのが納期である。いつまでに入稿すれば確実に間に合うのか、初めに確認しておこう。一般的に納期は「印刷所からの出荷日」を指す。完成した部誌が届く日ではないので注意が必要だ。また、土日が営業日に換算されなかったり、ミスが見つかって差し戻されることもあるので、発行日ギリギリの納期を設定することは避けたい。外注する際は特に余裕を持ったスケジュールを組もう。

 印刷データの作成方法やルールは印刷所によって異なるが、多くの場合PDFで入稿することになるだろう。各印刷所のホームページをよく読み込み、間違いのないように作成したい。

 特に表紙データを紙からはみ出る(縁なし印刷)デザインにした場合、トンボ(トリムマーク)をつけなくてはいけない場合がある。これにはAdobe Illustratorなどの専用ソフトが必要な場合があるので、デザインの段階で気をつけておきたい。

 入稿後、問題がなければあとは届くのを待つだけである。筆者はこの入稿の瞬間が楽しく、1シーズンに1回程度の頻度で印刷物を入稿するようになってしまった。

10.完成・その後

 いよいよ部誌の完成である。おめでとう!

 とはいえ完成してからも油断はできない。乱丁・落丁がないかを確認し、配布日に備えよう。

 部誌を配り切るためには宣伝も重要である。せっかく作ったのに宣伝が不十分で余ってしまったのでは元も子もない。部誌の魅力が伝わるように積極的に宣伝していこう。決して遠慮をしてはいけない。

 学祭などで配布する際には、用意した部数によっては1人1部までなど持ち帰り数制限をつけた方がいい場合もあるだろう。何時に何冊手に取られたかなど記録しておくと、次の部誌制作の際に大いに参考になる。このとき、すべて配り切ってしまうのではなく記録用に何冊か手元に残しておくことも大切である。関わってくれた方々へお礼として献本することも忘れないように。会場に来られなかった人のために、PDFデータをWebに掲載するのもいいだろう。

 こうして部誌が無事に発行できたら、忘れないうちに今回決めた書式などのルールをまとめておこう。次に作る際にまた一から考えるのは大変なので、面倒かもしれないが一度記録に残しておくと未来の編集長(それは後輩かもしれないし、あなたかもしれない)に感謝されるだろう。

 

11.おわりに

 以上が私LVQが得たノウハウのすべてである。ここまで読んだあなたには、部誌をどうやって作ればいいかイメージが湧いていることだろう(そうであってほしい)。部誌を作るということは一見すると高度な技術が必要なのではないかと感じるだろうが、それぞれの工程はそこまで難しいものではない。むしろそれらを最後までやり遂げることが一番の困難となるだろう。道のりは長いが、諦めずに着実に進めれば必ず完成させることができる。

 次の部誌を作るのはあなたである。みんなで協力して、とにかくこのお祭りを楽しむことだ。いいものができるよう健闘を祈っている。

『非常通信プロジェクト』始動とWAVOC(早稲田ボランティアセンター)支援サークルに!

~注意~ この記事は当会の公式発表です。[1]

非常通信プロジェクト』始動

  • 無線通信研究会はWAVOC所属サークルになりました
  • 災害時の「非常通信」に特化した活動をはじめます
  • 「無線ボランティア」の社会定着を目標に活動します

~概要~

2023年4月1日より早稲田大学無線通信研究会(以後、当会)は早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター[2](以後、WAVOC:ワボック)の支援ボランティアサークルとしても活動を行い、学内外におけるアマチュア無線を活用した災害時の通信インフラ構築と『無線ボランティア』の社会定着を軸とした活動を展開します。

~背景~

アマチュア無線には『非常通信』と呼ばれる災害時等の非常の事態において通信することが認められています。(電波法五十二条四)

非常通信(地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう。)

そして国内外のアマチュア無線家が重要なインフラである通信を非常時に確保し人々の暮らしや安全を守った実績があります。(東日本大震災阪神淡路大震災など)

 

しかし、その中でいくつかの課題も見えてきました。

  • 知名度の低さ
  • 人材的課題
  • 技術的課題

通信は物流や公衆衛生と同等に重要ですが、有事に民間が関与する意識が低く、より多くの方に「非常通信」について知ってもらう必要があります。

また日本には30万局のアマチュア無線局があり同程度の無線家がいるはずですが、我々ハムが有事に対応できるかについては課題が残ります。

さらに現在、「非常通信」においても音声による情報伝達がメインですが、緊迫した状況下ではミスが命取りになります。

~活動方針~

「非常通信プロジェクト」のコンセプト図

WAVOC支援サークルとして

  1. アマチュア無線におけるデータ通信を基本とした技術開発をすすめます。
  2. 開発した技術をもとに大学のキャンパス間での実用化をすすめます。
  3. 災害・減災の専門家と協力しながら、有事に求められる無線家の役割を研究します。
  4. 有事において無線家が「無線ボランティア」になる、または無線家が「無線ボランティア」として頼られるように概念の社会定着を図ります。

~経緯~

昨年度、災害時にアマチュア無線を活用することを目的とする『香川大学学生総合防災無線局』(@JR5YFW)に所属されていた方が、早大に入学する機会に当会へ入会くださったことが始まりでした。無線資格試験などでは耳にすることはあっても、実際にどのように"無線で"社会貢献ができるか知識不足でした。そこで国内外の状況の調査研究を始め、海外で主流である災害時のデータ通信を国内に導入させることが可能ではないかと感じ活動をはじめました。

~備考~

[1] 本日は4/1(エイプリールフール)ではございますが、本件は当会の正式な公式発表です。

[2] WAVOCとは

早稲田大学の"準"学部/学術院的な立ち位置にある学生による"ボランティア"を目的とした組織。早稲田キャンパス99号館をベースにボランティア関連講座の開講や学生のボランティア活動を支援しています。

~最後に~

国内における携帯電話各社の災害時における復旧度合や海外のStarlinkはじめ、なぜ今さらアマチュア無線なのか、という疑問はあると思われます。しかし、アマチュア無線の非常通信を米国では以下のように表現しています。

 

Amateur radio provides a means of communication "when all else fails".

アマチュア無線は「他の全てが失敗したとき」の通信手段である

 

また先日、WAVOCの先生方とのミーティングでもこのような発言がありました。

「非常時こそ基本に立ち返る必要がある」

このように高度に情報化された現代だからこそ、本当に動作する必要があるときに必ず動くシステム作りが必要であり、アマチュア無線は通信の基礎をやっているからこそ有事に威力を発揮すると当会は考えています。

 

当会は「通信の最後の砦」として活動していくことをここに決意します。

JK1LVQ 第一線引退のご挨拶

春は別れの季節。私JK1LVQは今日をもって、早稲田大学無線通信研究会の第一線を引退することにしました。

 

一つ前の記事にて、KHB氏の引退の挨拶がありました。氏は新生YDTの活動初期から関わっており、その活躍ぶりは皆さんご存知の通りかと思います。

私は本来、その引退を見送る側のはずでした。ですが、己の学生生活に思いがけず一区切りがついたため、私も引退をしてみようかと思った次第です。

 

さて、お気づきかとは思いますが、タイトルには「『第一線』引退」と書きました。

これは平たく言えば、私のYDT第1シーズン終了というような意味合いです。

学生生活に一区切りがついたとはいえ、すぐに就職などの次のステップへ進むわけではありません。

アマチュア無線技士免許を取得したのは2年前、開局はやっと1年経ったところです。つまり、私はまだまだアマチュア無線で遊び足りません。

加えて、YDTの同期のTMDくんはまだ現役です。やり足りないこともたくさんあります。そのような状況と心境から、第一線を退くものの、4月以降も後方支援担当として活動にはひそやかに関わらせていただくことにしました。

このような中途半端な提案を快く受け入れてくださったYDTのメンバーには感謝しかありません。恩を返せるよう、これまで以上にサポートしていきます。

 

私は0からのスタートでアマチュア無線の知識が乏しく、YDTへ技術面での貢献はできませんでした。代わりに得意だったのは、デザイン、写真など。これらに共通するのは「無くても困らないけど、あったら嬉しい」ということです。

そして、これからのYDTで私が目指すべき姿もそういうものかもしれません。

「いなくてもYDTは継続できるけれど、いたら嬉しい」。

まだまだ手探りのYDT第2シーズンですが、精一杯頑張りますので何卒よろしくお願いします。

そして、頼もしい仲間たちと無線通信研究会の行末を暖かく見守っていただければ幸いです。

 

 

CQは祈りと同じ 暗闇よまばゆい春よ応答願う

 

2023年3月31日

JK1LVQ

JR2KHB より、引退のご挨拶

 「どうぞ」という、無線通信用語があります。

 何気ない言葉ではありますが、実は無線局運用規則という法令できちんと定められているものです。

 意味は「送信してください」。自分の送信の終わりを示すものとして、効率の良い通信のためには欠かせないものとなっています。

 無線に馴染みがない方々にとっても、無線のイメージを尋ねれられれば
「あれでしょう、『~~です、どうぞ』ってやつでしょう」
などと、この「どうぞ」という用語は不思議と、無線通信を代表するものとして親しまれているようです。

 

 この「どうぞ」、英語では(いくつか表現がありますがその代表的なものとしては)「Over(オーバー)」と言います。

 日本語で「オーバー」といえば上着のことですし、エンジンの「オーバーヒート」などのように「あるラインを超えた」という意味にも日常で触れることが多いでしょう。しかしこの場合の「Over」は、「Game Over」などと同じような使い方で、「終わり」という意味で用いられています。

 そうやって比べてみますと、なるほど、「どうぞ」は相手に送信を促すニュアンスなのに対し、「Over」は自分の送信が終わったことをシンプルに伝える、という感があります。日本語と英語の言語としての性格、あるいは日本と英・米とのお国柄の違いが現れているようで、中々面白いものです。

 

ー・・・ー

 

 さて、本日、3月31日をもちまして、私 JR2KHB は、8年在籍した早稲田大学を去ることとなり、無線通信研究会からもとうとう引退することとなりました。

 これまで皆様から頂いた活動へのご協力、ご厚意に、改めまして篤く御礼を申し上げます。

 

 昔話をすれば、7年前のハムフェアで、新生 YDT の創始者である、YDTの名誉会長 JH1DWQ 氏と初めてお会いしたのが、私が「YDTメンバー」となった始まりでした。最初の2年間はDWQ氏と私との 2人で活動しており、サークル(円)というよりも線、というような感じでした。3年目の春にようやく新入部員を迎えて、やっと円が描けた、と喜んだことをよく覚えています。

 あれから、早幾年。

 今やメンバーも10人を超え、賑やかになりました。少し前から、敢えて「YDTのおじいちゃん枠」を自称し、第一線からは一歩引いた形で活動に参加するようにしていましたが、その贔屓目に見ても、活動が非常に活発かつワイド・レンジであり、それでいて楽しく個性的なメンバーが伸び伸びしているように感じます。大学無線サークル界でも随一の、素晴らしい大学社団局になったのではないでしょうか。

 これも全て、YDTに入っていただき、活動に参画してくださったメンバーの皆さんの力だと確信しています。

 

 本当に素晴らしい会で活動できたことを、幸せに、そして誇りに思います。

 

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 私の学生ハムとしてのキャリアは、ここで「Over」となります。ここから先のYDTの活動と、アマチュア無線の未来を、現役メンバーの皆さんに「どうぞ」と託したいと思います。

 

 まあ、いつもの通り、投げっぱなしなのですけれど。


2023年3月31日 長野電鉄の車中にて。
          早稲田大学無線通信研究会 終身名誉おじいちゃん JR2KHB

令和4/2022年度 活動報告

Hello CQ!

こんにちは。4月に学部に入学し,同時に入部したQZXです。入部前はアマチュア無線は未経験でしたが,4月に弊会の体験局 8J1YAJにて交信して以来,主にコンテストにて交信をしています。また,7月に第3級アマチュア無線技士免許を取得,12月に個人局 JK1QZXの免許状を取得しました。

さて,2022年度も残り数日となりました。本年度も前例*1に倣い,この一年間のYDTの活動を振り返り,まとめました。

2022年4月

5月

6月

  • 26日 - 電子工作会
    DRA-36 *3の組み立てを行いました。製作したモデムは,その後も使用しています。
  • 1名入部

7月

8月

  • (部会)
  • 6-7日 - フィールドデーコンテスト
    赤城山にて移動運用により参加しました。

  • 20-21日 - ハムフェア

  • 31日 - 関東大学社団ミーティング*4
    本年度は東京電機大学での開催でした。参加した各大学社団の活動発表があり,そこでは他大学社団が活発に活動されていることを知り,刺激を受けました。また,東京電機大学のシャックを拝見しました。弊会には部室がないため,部室の確保と活動の発展に向け思いを新たにしました。

9月

  • 10日 - 下野の国ARDF競技大会
    YDTとしてはじめてのARDF挑戦になりました。経験者のPNV氏のもと,ARDF初挑戦の2名を加えた3人で参加しました。この後ARDF用の受信機も購入するなど,じわじわとARDF熱がYDTでも高まっています。(TMD)

  • 1名入部

10月

11月

12月

  • 16日 - 「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線の活用等に係る制度改正案」に対する意見を総務省へ提出

2023年1月

2月

  • 2日 - 非常通信実験
    非常時の使用を想定した,パケット通信の実験を行いました。6月の電子工作会にて組み立てたDRA-36を使用しました。

3月

  • 部誌 2023春号発行
    2回目の部誌の発行をしました。QZXは執筆を予定していましたが,原稿を落としてしまいました。次回は発表するつもりです。
  • JR2KHB,JK1LVQ両氏の引退

振り返ると,思いのほか多数の活動をしてきたことに気が付きました。入部前に想定していたよりもずっと活動的なサークルでした。私は今年度は先輩方のお世話になるばかりで活動に貢献できなかったため,来年度は活動に資することができるよう邁進する所存です。また個人的なこととして,一総通取得のため,電気通信術の合格に向けてモールスの練習を継続します。

弊会の今年度の活動が充実したものになったのは,顧問の先生,関係する皆様のご協力によります。感謝申し上げます。来年度も各活動に精励しますので,今後ともよろしくお願いいたします。

(JK1QZX)

*1:年度内に活動報告を公開するのは初めてのようです。また,前年度は記事自体ありませんでしたが,常に忙しくしている先輩方を見ているとそうなるであろうということは納得します

*2:厳密には3月に入部していた部員もいます

*3:無線機のマイク端子とPCのUSB端子の間に接続するモデム

*4:関東を中心とした全国の大学のクラブ局が参加するミーティング