JH1YDT 早稲田大学無線通信研究会

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素人無線会?無線研究部? YDTの名称の歴史を探る

 こんにちは!
 JH1YDT編集長のJK1PNVです。

 

 当会の会誌『Yesterday Develops Tomorrow』第3号はお読みいただけましたでしょうか?
 まだお読みでない方は、ぜひWeb版をお読みください。

https://www.jh1ydt.com/contents/magazine2023autumn/YesterdayDevelopsTomorrow2023Autumn.pdf

 

 さて、この会誌第3号ですが、第70回理工展(11/4,5)で約200部を頒布したため、国立国会図書館に納本してみました。(ちなみに、納本のやり方についてはまた別の記事にしようと思います。)
 国立国会図書館サーチでも、書誌作成中なのが伺えます。書誌ができるのをワクワクしながら待っています。

Yesterday develops tomorrow (早稲田大学無線通信研究会)|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

 その際に、NDLサーチで「JH1YDT」と検索してみたところ、かつての「早大理工素人無線会」時代(1970~2012)の記事がヒットしました。ところが、その名前が「早稲田大学理工学部素人無線部」という伝え聞いていたものとはちょっと違ったものでしたので、調査してみることにしました。

 

目次


 Yesterday Develops Tomorrow第3号制作時に判明したことですが、当会の名称は非常に揺れが大きく、時々に様々な名前が見られます。
 もちろん、無線局免許状上の名称を何度も何度も変更していたわけではなく、その時々に略称や適切な通称を使用した結果こうなったのでしょうが、かつてのYDTについて検索する上で不便ですので一度まとめてみたいと思います。
 ちなみに、2016年以降は「早稲田大学無線通信研究会」の名称を使っていますが、学内では「早稲田大学」と示すまでも無いので「無線通信研究会」とだけ名乗ることもあります。記事のタイトルなど文字数制限がある場合は、「早大無線部」と書いている例もあるようです*1

Yesterday Develops Tomorrow,OB保有資料

 まず、先日発行したYesterday Develops Tomorrowや、その際に見せて頂いたOBの保有する資料を基に、当会の別名を探ってみます。

 

 OBの保有する、1970年当時の理工学部のクラス名簿には、「アマチュア無線同好会」(学内であるため「早大」や「理工」といった語句は省かれています)と記載されています。

 郵政省時代の(!)キャッシュカードは「ソウタ゛イリコウシロウトムセンカイ」名義です。「早大理工素人無線会」ですね。

 

 Yesterday Develops Tomorrow第3号の記事・後書きでは、以下の記載が見られます。括弧書きで、その名称を使った方が在籍していた年度を記載します。

 

 また、1970年代に少なくとも16号まで発行されていた会内誌『YDT.com』(『YDT通信』、『COM YDT』など別名あり)の内容を見ると、普段は会のことを「YDT」と呼んでいたことが分かります。これは、現在の当会も同じであり、また、アマチュア無線家の皆様も普段の会話で相手をサフィックスで示すことはよくあることだと思います。

NDLサーチを使った調査

 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ)では、国立国会図書館や全国の図書館が保有する書誌の情報を検索することができます。特に、雑誌については目次も記載されており、検索対象に含めることができます。

 さっそく、「早大 無線部」「早稲田 素人無線」など、様々な単語を組み合わせて検索してみたところ、CQ誌(CQ ham radio)に3件記事を寄稿していることが確認できました。

  • JH1YDT 早稲田大学理工学部素人無線研究会「混変調対策・高感度に重点を置いた--1.9MHz受信機の設計と製作」1979年6月号、pp. 254~265*2
  • JH1YDT / 早稲田大学理工学部素人無線部「パワーMOS FETを使用した 10Wアンプの実験」1980年10月号、pp. 282~285*3
  • 早大理工学部 素人無線研究会「製作と解説」1982年9月号、pp. 306~337*4

 

 「早稲田大学」だったり「早大」だったり、「理工学部」が入ったり入らなかったり、「研究会」だったり「部」だったりなど、様々な表記揺れが見られます。

 ここら辺の名称の揺れを典拠コントロールしていただけないか、国立国会図書館にお願いしてみました。確約はできないとこのことですが……。

 

 ちなみに、「早稲田大学無線通信研究会」では、2件ヒットします。

ネット検索

 Googleで「"JH1YDT"」と入力して、関連するページを片っ端から調べてみました。

 ちなみに、これを早稲田のWi-Fiからやっていますので、各所に足跡が残っているかと思います笑(これも立派な課外活動ですので、Wi-Fiを使わせていただきました)

 2012年以前のJH1YDTのウェブサイトは以下のURLだったようです。

http://jh1ydt.web.fc2.com/

 

 サイトはなくなっていますが、ウェイバックマシンにいくつかアーカイブが残っています。

 2008/5/13のアーカイブ*7を見ると、ページ下部の著作権表示が「(c) Copyright Amateur Radio Station at School of Science and Engineering Waseda Univ. JH1YDT」となっています。2010/3/12*8になると、「 (C) 早大理工素人無線会」に変わっていました。
 また、当時の幹事長が早稲田ウィークリー(大学学生部発行の雑誌)のインタビューに答えていました*9。そこには、「早大理工素人無線会幹事長」と書かれています。

 JARL京都クラブNews No.202(1987年3月)*10には、JA3YAQ/3 JARL京都クラブが第7回全市全郡コンテストにて4位になったとの記事に、5位までの順位表が掲載されています。3位のところには「JH1YDT 早稲田大学素人無線会」と記載されています。

 ちなみにコンテストと言えば、JK1JHU氏が「早稲田大学OB会」名義でコンテストで素晴らしい成績を残しておられますが、氏はYDTのOBではなくJE1YLPのOBのようです。

 当時の早稲田にはいくつか無線局があり、本キャン(西早稲田キャンパス→早稲田キャンパス、通称・本キャン、新宿区西早稲田1-6-1)13号館(かつて理工学部が使用していた)にあったのが「早稲田大学超短波実験無線局」「早稲田大学無線局」JE1YLPです。当時の13号館が描かれた絵をYLPのOBに教えて頂きましたが、アンテナや屋上の部室が映っていますね。

 JE1YLP局は、「早大無線局JE1YLP稲門会」の皆様によって今年再開局され、「早稲田大学無線局OB会」として活動していらっしゃいます*11。ちなみに、YDTの稲門会はありません……。

閑話休題

 

 1979年発行の英語QSLカードがebayに出品されています*12が、そこに記載された英語名称は2008年のものとは違うようです。

> Amateur Radio Club
> Faculty of Science & Engineering
> Waseda Univ.

 著作権を持っているのは出品者ではなくJH1YDTでしょうから、以下に画像を掲載します。

 

画像1 1979年発行のQSLカード

 中央に映るのは、建設当時日本有数の高さを誇った51号館です。この上から運用することもあったようですね。

 ちなみに、2016年以降に発行したQSLカードの中にも、51号館が映っているものがあります。

画像2 2018年作成のQSLカード

 

結論

 と言う感じで、様々なソースを利用して当会の通称の変遷を調べてみました。

 まとめとしては、大学名、学部名、無線について、会・部などの4パートの組み合わせで表せそうです。早大理工素人無線会、早大理工学部素人無線研究部、早稲田大学素人無線会といった調子ですね。

 

表1 JH1YDTの名称組み合わせリスト

大学名 学部名 無線について 会・部など
早大 理工 素人無線
早稲田大学 理工学部 アマチュア無線
  (記載なし) 無線 研究会
      研究部
      同好会

 

 というわけで、今回はYDTの歴史を少し探ってみました。名称が異なると情報を探すのが大変ですので、今後は「早稲田大学無線通信研究会」一本で通していきたいと思います。JH1YDTも併記してくれるところならいいのですが、ハム以外の方はなかなかコールサインを併記してくれませんから、こちらが名前を統一しておくに限ります。

 

 さて、次回は国会図書館納本の話でお会いしましょう。後輩が、理工展/早稲田祭の実施報告もしてくれるはずです。それでは!

 

2023/11/17

JK1PNV