JR2KHB より、引退のご挨拶
「どうぞ」という、無線通信用語があります。
何気ない言葉ではありますが、実は無線局運用規則という法令できちんと定められているものです。
意味は「送信してください」。自分の送信の終わりを示すものとして、効率の良い通信のためには欠かせないものとなっています。
無線に馴染みがない方々にとっても、無線のイメージを尋ねれられれば
「あれでしょう、『~~です、どうぞ』ってやつでしょう」
などと、この「どうぞ」という用語は不思議と、無線通信を代表するものとして親しまれているようです。
この「どうぞ」、英語では(いくつか表現がありますがその代表的なものとしては)「Over(オーバー)」と言います。
日本語で「オーバー」といえば上着のことですし、エンジンの「オーバーヒート」などのように「あるラインを超えた」という意味にも日常で触れることが多いでしょう。しかしこの場合の「Over」は、「Game Over」などと同じような使い方で、「終わり」という意味で用いられています。
そうやって比べてみますと、なるほど、「どうぞ」は相手に送信を促すニュアンスなのに対し、「Over」は自分の送信が終わったことをシンプルに伝える、という感があります。日本語と英語の言語としての性格、あるいは日本と英・米とのお国柄の違いが現れているようで、中々面白いものです。
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さて、本日、3月31日をもちまして、私 JR2KHB は、8年在籍した早稲田大学を去ることとなり、無線通信研究会からもとうとう引退することとなりました。
これまで皆様から頂いた活動へのご協力、ご厚意に、改めまして篤く御礼を申し上げます。
昔話をすれば、7年前のハムフェアで、新生 YDT の創始者である、YDTの名誉会長 JH1DWQ 氏と初めてお会いしたのが、私が「YDTメンバー」となった始まりでした。最初の2年間はDWQ氏と私との 2人で活動しており、サークル(円)というよりも線、というような感じでした。3年目の春にようやく新入部員を迎えて、やっと円が描けた、と喜んだことをよく覚えています。
あれから、早幾年。
今やメンバーも10人を超え、賑やかになりました。少し前から、敢えて「YDTのおじいちゃん枠」を自称し、第一線からは一歩引いた形で活動に参加するようにしていましたが、その贔屓目に見ても、活動が非常に活発かつワイド・レンジであり、それでいて楽しく個性的なメンバーが伸び伸びしているように感じます。大学無線サークル界でも随一の、素晴らしい大学社団局になったのではないでしょうか。
これも全て、YDTに入っていただき、活動に参画してくださったメンバーの皆さんの力だと確信しています。
本当に素晴らしい会で活動できたことを、幸せに、そして誇りに思います。
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私の学生ハムとしてのキャリアは、ここで「Over」となります。ここから先のYDTの活動と、アマチュア無線の未来を、現役メンバーの皆さんに「どうぞ」と託したいと思います。
まあ、いつもの通り、投げっぱなしなのですけれど。